私が銀行に勤務しているときにある事件に巻き込まれました。
銀行は倒産した設計事務所に数千万円の債権を持っていました。
短期資金と長期資金です。
短期資金は手形貸付というもので、2千万円の極度の中で、借りたり反したりします。
運転資金の調整弁となっています。
県等からの売上金の回収が遅れることが、諸般の事情によって発生するものですから、短期の手形貸付でやり繰りするわけです。
私がこの支店から転勤した数年後に設計事務所の経営は急激に悪化して倒産しました。
そしてこの問題が最高裁まで上がってゆくわけです。
設計事務所の社長は財産の差し押さえ競売処分はやむを得ませんと当初から認めていました。
問題は、手形貸付の連帯保証人となっていた税理士さんです。
社長の財産の処分だけでは銀行の債務は到底埋まりませんから、税理士さんに銀行は請求しました。
連帯保証人は主債務者に弁済能力がない場合は、義務を履行しなければなりません。
後になって、立派なお住まいを手放されたと聞いています。
しかし税理士さんは、当然でしょうがタカ派の弁護士に依頼して、この危機を切り抜けようと最大限の抵抗を試みてきました。
地裁・高裁の段階では、極度保証の決まりを無視して、当初の分が税理士の行った保証であり、後は設計事務所が勝手にやった事で責任はないということでした。
私は設計事務所の社長や銀行に騙されてたというものでした。
しかしすべて銀行側の勝訴に終わりました。
最高裁では視点を変えてきました。
銀行員が偽証をしているというのです。
税理士に罪を被せるために、偽証をしたというのです。
最高裁へは弁護士だけの出頭で、私は文書を提出することで審判を仰ぎました。
銀行側無罪の確定判決を得ることが出来ました。
一連の判決で思ったことは、税理士は設計事務所の役員であり、担当税理士でもあったということです。
うまい汁だけ吸って、具合が悪くなったので逃げ出すような振る舞いは裁判所の心証を悪くしたようです。
また経理の専門家が、連帯保証人の意味を誤解していたような行為は裁判所に理解されませんでした。
税理士は士業であり、一般人ではありません。
経済の事件では、一段厳しい見方がされます。
銀行側は最初から正しく負けることは無いと思っていましたが、裁判所も銀行の事務処理については問題ないという考え方が最初からあったように思いました。
訴えがあるから法廷を開くだけという思いを受けました。
兎に角、よほどのことがない限り連帯保証人にはならないというのが教訓になりました。